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【第2回】山口美穂区長の「繋」は何を変える?|自治会と防災から幸区の未来を考えた
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- 山口美穂区長が2026年の一字に選んだ「繋」を、自治会・町内会と防災の視点から読み解きます。
- 幸区の自治会・町内会加入率は2024年時点で64.6%。川崎市全体の55.9%を上回る一方、担い手への負担集中が課題です。
- 在宅避難や避難所運営を機能させるには、制度だけでなく普段からの顔の見える関係が重要だと編集部は考えます。

Image: Roots Lab.美食部
前回は、山口美穂区長の経歴や散歩とグルメが好きという一面を追いかけました。
でも、人物紹介だけでは区政の中身は見えてきません。そこで第2回は、山口区長が2026年の一字に選んだ「繋」を、自治会・町内会と防災から掘り下げます。
「つながりは大切です」と言うだけなら簡単です。問題は、そのつながりが、いざという日に本当に動くのかどうか。
調べていくと「繋」は、ふんわりした合言葉というより、幸区が抱えるかなり現実的な課題への答えに見えてきました。

幸区民祭で見つけた「20年後の幸区」の展示。世代を超えた交流や安心して歩ける街への願いが並んでいました。写真:Roots Lab.美食部
町内会加入率は幸区が64.6%
タウンニュースの区長インタビューによると、2024年の自治会・町内会加入率は、幸区が64.6%。川崎市全体の55.9%を上回っています。
数字だけを見ると「幸区は地域の結束が強い」と拍手したくなります。
実際、区民祭、夏祭り、運動会、ボッチャ大会など、幸区には地域の人が顔を合わせる機会があります。引っ越してきたばかりの人でも、行事へ出れば「近所にこんな人がいたんだ」と気付けます。
ただし、加入率が高ければすべて解決という話ではありません。
山口区長は、地域活動を担う人が複数の役を兼ね、負担が集中していることにも目を向けています。顔の見える関係が幸区の強みなら、その顔が毎回同じ人ばかりになっていないかも見なければなりません。
地域のベテランが分身できたら苦労はしない
町内会の役員、防災担当、行事の準備、見守り活動。地域を支える仕事は、一つひとつは小さく見えても、重なると大きな負担になります。
頼れる人には、つい次のお願いも集まります。その結果、地域のベテランが「祭りの準備をして、防災訓練を回して、会議にも出る」という一人三役状態になることも考えられます。
残念ながら、地域のベテランに分身の術はありません。
続けるために必要なのは、熱心な一部の人へさらに頑張ってもらうことではなく、初めての人が小さく参加できる入口です。
「役員を一年お願いします」では身構えても、「当日の受付を30分だけ」「防災マップの写真をスマートフォンで撮るだけ」なら参加できる人は増えるかもしれません。
ここは山口区長が掲げる「繋」を、精神論ではなく仕組みに変えられるところです。
新しいマンションは街の別館ではない
幸区には、昔からの住宅地がある一方、川崎駅西口や新川崎・鹿島田を中心に新しいマンションも増えています。
同じ地域に住んでいても、オートロックの内と外で生活が完結すると、町内会や地域行事の情報へ触れる機会は少なくなります。これは住民の関心が低いと決めつけられる話ではありません。そもそも、参加方法を知らない場合もあります。
山口区長は、新築マンションの管理組合総会などで自治会制度を説明する取り組みに言及しています。
編集部が面白いと感じたのは、完成した地域へ新住民を「入れてあげる」という発想ではなく、これから一緒に地域をつくる仲間として接点を設けようとしている点です。
昔から住む人の経験。新しく来た人の視点。地域企業の技術。これらが交われば、幸区という鍋はもっとおいしくなります。第1回の鍋の例えを、まだ引っ張っています。

幸区役所一帯で開かれた幸区民祭。地域の団体と住民が顔を合わせる機会の一つです。写真:Roots Lab.美食部
防災で問われるのは知っている人の数
山口区長が重視するもう一つのテーマが、防災・減災です。
大きな災害が起きたとき、区役所の職員だけですべての家を回ることはできません。避難所を開ける人、安否を気にかける人、地域の危険な場所を知る人。それぞれの知識と役割がつながって初めて、地域は動けます。
ここで大切なのは、連絡先の数よりも「この状況なら誰に声をかければよいか」を知っていることです。
普段の祭りや運動会は、楽しむための行事です。同時に、災害時に助け合う人同士が、平常時に顔を知る機会にもなります。
防災訓練だけに人を集めるのは難しくても、地域イベントの片隅に非常食の試食や家具転倒防止の体験を置けば、参加の入口は広がります。「防災の日」と「楽しい日」を完全に分けない工夫がありそうです。
在宅避難は家にいれば終わりではない
山口区長は、在宅避難への理解を広げることにも言及しています。
在宅避難は、自宅に危険がなく、そこで生活を続けられる場合に自宅で過ごす選択です。マンションが多い幸区では、避難所へ全員が集まるより、自宅にとどまる方が安全な場合があります。
ただし「家にいるだけ」ではありません。
水と食料。携帯トイレ。常用薬。停電時の明かり。家族との連絡方法。エレベーターが止まった場合の移動。普段は見えない課題が、電気や水が止まった瞬間に一斉に姿を現します。
また、自宅で過ごす人にも支援情報は必要です。避難所が物資や情報の拠点になる場合、近所とのつながりが薄ければ、必要な情報を受け取りにくくなる恐れがあります。
「避難所へ行かない」と「地域から離れる」は同じではない。ここにも「繋」が必要です。
編集部なら「15分だけ参加」を増やしたい
つながりを強くするために、編集部は大きな新制度より、参加のハードルを細かく下げる方法が効くと考えます。
- 行事の手伝いを30分単位で募集する
- マンションの掲示板や管理アプリでも地域情報を届ける
- 防災訓練へ子ども向けゲームや地域の飲食店を組み合わせる
- 自治会に入る前でも参加できる体験枠をつくる
- 仕事を紙一枚に整理して引き継ぎやすくする
- 参加できなかった人へ写真と成果を短く共有する
最初から「地域を背負う人」を探すと、候補はなかなか現れません。まず15分だけ関わる人が増え、その中から次の担い手が生まれる方が自然です。
これは山口区長本人が示した施策ではなく、公開された課題を踏まえた川崎さいわい日和編集部の提案です。
「繋」は災害が起きる前に試される
山口区長の一字「繋」は、人と人が仲良くするという話だけではありません。
昔からの住民と新しい住民。マンションと町内会。地域行事と防災。自宅で避難する人と情報の拠点。普段は別々に見えるものを、必要なときに結び付ける考え方です。
災害が起きた瞬間に、知らない人同士が急に完璧なチームになるのは難しい。だから、平穏な日に一度会っておく。一緒に祭りを楽しむ。短い時間だけ手伝ってみる。
「繋」は、非常用持ち出し袋へ入れられません。
でも、地域で少しずつ増やしておけば、いざという日に持ち出せる大切な備えになります。
前回の記事:【第1回】幸区長ってどんな人? 山口美穂さんを調べたら散歩とグルメ好きの「幸区推し」だった
次回は、行政経験約35年の山口区長へ編集部が直接聞いてみたいことをまとめます。散歩とグルメの話も、もちろん忘れません。
Sources
- 山口美穂区長インタビュー(タウンニュース)
- 幸区長に山口氏(2025年4月4日)(タウンニュース 川崎区・幸区版)
Series · Part 2 of 3
Getting to know Mayor Miho Yamaguchi
- Part 1Who is Saiwai Mayor Yamaguchi?
- Part 2山口区長の「繋」は何を変える?
- Part 3Ten questions for Mayor Yamaguchi
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Runs Roots Lab. / UX writer
Designs UI and UX at a company, and runs and plans Roots Lab. Born in Fukuoka Prefecture.
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